近視・遠視・乱視とは

物を見る仕組み

目は小型カメラに例えられます。眼に入ってきた光は角膜と水晶体(カメラのレンズの役割)を通って屈折され、眼球の奥にある網膜(カメラのフィルムの役割)に像が写し出されます。眼はピントを合わせるために、毛様体により水晶体の厚さを調整しており、この働きを調節力といいます。 調節力を働かせない(水晶体が最も薄い)状態で、遠方から来た光(平行光線)が網膜にぴったり焦点を結ぶ目を正視眼といいます。正視眼では、調節力を使うことで、遠方から近方まで、はっきりものを見ることができます。

近視

近視とは近くのものはよく見えるのに、遠くのものはぼんやりとしか見えない、かすむ状態を近視と言います。遠くのものを見るとき、ピントが網膜上で合わず、網膜の手前で合ってしまうためです。
近視には角膜・水晶体の屈折力が強いために起こる屈折性近視と眼球が前後に長いために起こる軸性近視があります。また以前は仮性近視と呼ばれていましたが、長時間にわたって近くのものを見続けていると、眼の中の調節筋が近くにピントを合わせた状態、つまり水晶体が厚くなった状態が続き、一時的に近視に似た状態になります。これを現在は調節緊張と呼びます。調節緊張では視力が一時的に低下します。眼を休ませ点眼薬で回復に努めますが受験勉強やパソコン作業を続ける場合近視になることもあります。
屈折性近視は読み書きや手元の作業を続けると起こりやすく、小学校高学年から始まることが多いようです。学校で黒板の字が見えにくかったり、夕方や曇りや雨の日など暗いときに物が見えにくくなって眼を細めたりします。
軸性近視は、眼の長さが過剰に伸展し、これに伴って相対的に焦点が前へずれるために起こります。このため近視が強度になると、将来、黄斑変性症、緑内障、網膜剥離などが起こるリスクが高くなります。
近視進行の速さには、遺伝要因と環境要因の両方が影響しています。両親とも近視の子どもは、両親とも近視でない子どもに比べて、7~8倍近視になりやすいと言われています。環境因子については、読書や勉強の際に正しい姿勢で十分な視距離をとること、晴天時に屋外活動をすること、集中的に見続けないようにし適度に休憩をとることなどが、近視を進ませないようにするうえで有効と考えられています。

遠視

遠視とは眼軸が短い、または角膜・水晶体の屈折力が弱いため網膜の後ろにピントが合う状態を言います。
子供の場合、軽度の遠視はピント合わせの力が十分あるのでそのまま放置しても心配ありません。しかし中等度以上の遠視では網膜上にピントを合わせることが難しくなるため、視力が発達しない、いわゆる弱視の原因となり、眼鏡の常用が必要となります。またピントを合わせようと過剰な調節が働くため、眼が内側に寄ってしまう、いわゆる調節性内斜視の原因になることもあります。その場合は眼鏡常用や手術などが必要になる場合もあります。遠視はただ遠くが見えにくいだけでなく、近くを見る時にはさらに調節力が必要となるため近くのものが見えにくかったり、見えても長続きせず眼精疲労を自覚することがあります。
大人の場合は遠視の主な症状として、疲れやすいこと、眼痛、頭痛などが問題となります。また老視による近見障害も比較的早期に出やすいので眼鏡による矯正が必要となります。

乱視

正常な人では、角膜は横方向も縦方向もほぼ同じ曲がり具合をしていますが、乱視の方では曲がり具合が横と縦で異なります。そのため乱視の方では眼底にはっきりとした像を結ぶことができません。乱視が軽い場合には眼鏡で矯正できますが、乱視が強い場合眼鏡では物がゆがんで見えたり、眼が痛くなったりします。この場合はハードコンタクトレンズを使用しなければなりません。ハードコンタクトレンズは表面が滑らかな球形をした硬いレンズでこれを角膜の表面にのせると角膜表面のゆがみや凹凸がとれて乱視がなくなります。